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醸造用縦型精米機を使い、原料米にできるだけ負荷を掛けないよう長時間(8〜40時間)かけて精米します。ここでの仕上がり具合が、酒造り全ての工程の基礎となる為、その年々の米の状態を見極めながら慎重に作業を行います。
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精米された白米を水洗いし、表面に付着した糠やゴミを取り除きます。その後、漬け桶に白米を張り、水を加えて吸水させます。浸漬時間は気温や湿度、水の温度や米の性質、使用目的によって異なりますが、ここでの作業が仕上がる酒の質を大きく左右する為、分単位、時には秒単位で調整します。
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十石釡(約1800ℓ容積)に甑(こしき)をセットし、1回に700〜800kgの白米を強い蒸気で約40分間蒸し上げます。放冷機を用い蒸し上がった白米を使用目的に応じた温度まで冷まします。
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酒造りは『一 麹、二 もと、三 造り』といわれており、麹は最も大切なものの1つとされています。
麹の役割は米のデンプンを分解し糖に変えることで、造る酒の質を大きく左右します。よい麹を造るために、夜中でも手入れを怠れません。 -
酒母(しゅぼ)は酛(もと)とも書き、酒づくりにおいて順調にアルコール発酵を行わせるために必要な「酒のもと」で、字の如く「酒の母」のようなものです。
「麹・蒸米・水・純粋酵母・乳酸」からなる酒母をベースとして仕込みが始まります。 -
酒母は壺台と呼ばれる小さなタンクに造られ、その酒母を仕込み用の大きなタンクに入れた(返した)時点から『もろみ』と呼ばれます。
仕込みは酒母に麹・蒸米・水を、基本的には『添・仲・留』の3回に分けて加えて行われます。その度にもろみの嵩(かさ)は増し、最終的に大きなタンク一杯になります。
仕込みが終了したもろみは約20日〜30日間かけて熟成され、その後絞られて清酒が生まれます。熟成期間は毎日「かい入れ(もろみを混ぜる作業)」をし、その度に温度を測り、適温に保たれるように調整していきます。 -
熟成したもろみを酒袋に入れ槽で搾ります。
ここで液体部分(新酒)と固体部分(酒粕)に分離します。 槽(ふね)は圧搾機のことで、古い年代の物で「佐瀬式」を用いています。槽にもろみの入った酒袋を並べ、胴蓋と板木を乗せて大きなジャッキで押します。
現代では機械化が進み、酒袋を使って搾っている酒蔵自体が希少になってきています。
槽の口から出てきたお酒、いわゆる搾りたての生酒が「槽口酒(ふなくちしゅ)」。これを間髪入れずに瓶に詰めたものが、「原酒(生)」です。 -
搾った生酒をタンクに入れ、白い濁り部分(滓)を沈殿させて上部の清澄した酒のみを取り出します。
沈んだ滓は「滓酒 にごり酒」として数量、期間限定で売り出されます。 -
滓を取り去った酒は味のバランスを整える為に濾過されます。濾過することによってさらに清澄した透明度の高い酒に仕上がります。
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殺菌と残存酵素を破壊するため、約65℃で火入れを行います。十石釡にとぐろを巻いた蛇のようなパイプ(蛇管)を入れ水を張り、お湯を沸かします。その蛇管の中に酒を通して約65℃まで温度を上げていきます。
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火入れが終わると、酒質の安定をはかり熟成を待ちます。 適度に熟成した酒から順次瓶詰めし、皆さまのお手元に出荷となります。
精米からとても複雑な工程を経て、月日と手間暇をかけ日本酒は誕生するのです。